2019/11/01

冥王星周回探査計画!(を検討するための調査のための予算が下りた的な話)

冥王星の周回探査計画が持ち上がっていると聞いて、テンション上がって記事を読み解いたことのメモ。
私の知識や理解が足りてなくて間違ってるところもあるかもしれませんすみません。

New Horizons計画を率いたAlan Sternさんによる記事

Scientists plan a new orbiter mission to Pluto

Researchers already are planning an ambitious spacecraft that will orbit the mysterious world.

SwRI(Southwest Research Institute) のプレスリリース

SwRI to plan Pluto orbiter mission

NASA has funded Southwest Research Institute to study the important attributes, feasibility and cost of a possible future Pluto orbiter mission. This study will develop the spacecraft and payload design requirements and make preliminary cost and risk assessments for new technologies.

SwRIのプレスリリースによれば、まだ「実現できるかどうかも含め、調査・計画するための資金がNASAから提供された」というような段階みたいです。ぜひ実現してほしい…!!

実現するとしたらいつ?

以下、Scientists plan a new orbiter mission to Plutoの記事を参考にした内容です。

打ち上げ時期については、可能性としては2020年代後半か2030年代後半。ここですでに約10年の開きが。

スケジュールの一つの案としては、

  • 2028年12月打ち上げ
  • 2030年10月に木星スイングバイ
  • 2046年に冥王星周回軌道に入るための減速開始
  • 2059年に探査終了(?ここの"concluding in 2059"となっているのですが、どの段階を指すのかいまいちよくわかってません…)

 という感じみたいです。

New Horizonsが打ち上げから冥王星フライバイ(接近して観測)まで9年なので、倍くらいの時間がかかる計画。

記事の中では、もし十分な高出力で減速できるようなhigh-power nuclear systems(高出力の原子力エンジン、みたいなことかと…)を利用できれば、速く到達することも可能、だけど、今のところ時間をかけて遅く行って少ない出力で減速する方がうまくいきそう、というようなことも書かれてます。

どうやって実現する?

必要なもの

後でこの話しますが冥王星周回探査って難しい、不可能と思われてたことみたいなんです。

The mission design we created put a New Horizons-scale spacecraft with new instruments into Pluto orbit. It requires one of the massive new, Saturn V-class launch vehicles now in development, a Jupiter gravity assist, and a nuclear electric stage augmented by a chemical propulsion braking stage to reach Pluto orbit.

Scientists plan a new orbiter mission to Pluto

New Horizonsと同じくらいのサイズの探査機を冥王星周回軌道に投入するために、必要になるのは、

  • サターンVロケット級の巨大なロケット(現在開発中)
  • 木星スイングバイ(=木星の重力を利用して軌道を変えたり加速したりする)
  • 原子力電源によるエンジンと化学的な推進剤によるエンジン?(ごめんなさいここは私の知識不足で日本語でなんていうのかわからない…)

サターンVロケットは、アポロ計画などに使われたロケットで、史上最大。

【参考】サターンV - Wikipedia

宇宙空間では加速にも減速にも同じ大きさのエネルギーが必要なので、速い速度で冥王星まで行くと、そこで減速するのに大きなエネルギーが必要になってしまう。
大きなエネルギーを生み出すには大量の燃料が必要で、で、それを打ち上げようとすると巨大なロケットが必要になって…っていう。

スケジュールの話で、New Horizonsは9年で冥王星まで行ったのに今回はその2倍くらいの時間をかけて行くのも、たぶんそれが関係してて。(スイングバイに使える惑星の位置関係とかもあるかもだけど)
速く行くために大きく加速してしまうと、いざ冥王星に辿り着いて減速するにも大きなエネルギーが必要になる(冥王星は小さくて重力も小さいので、周回軌道に入るにはだいぶ減速しないといけない)
かけられる時間と最大限持っていける燃料のバランスをとった結果、こういうスケジュールで検討されてるなのかなと…

カロン・キャッスル

それでも、不可能だと思われていた冥王星周回探査の可能性が出てきたのは、冥王星と同じくらいの大きさの衛星であるカロンの重力がうまく利用できそう、というシミュレーション結果がでたことみたい。
(セーラームーン的にはカロン・キャッスルねw)

We discovered that virtually all of the propulsive needs to explore many aspects of the planet and its satellites could be eliminated using targeted close flybys of Pluto’s Texas-sized moon Charon for repeated gravity assists. This is analogous to how the Cassini orbiter toured the Saturn system using the large moon Titan for gravity assists. When we simulated the idea, it worked beautifully, eliminating most of the fuel an orbiter needs to carry.

Scientists plan a new orbiter mission to Pluto

カロンのスイングバイを利用すれば、大量に必要と思われていた燃料(推進剤)を削減できるかも、ってことかな。
(冥王星系(冥王星と5つの衛星)を詳しく調査するために必要な燃料が…という文脈になってる気がするので、やっぱり冥王星周回軌道にまず入るためにはある程度(サターンVクラスのロケットじゃないと打ち上げられないくらい)の燃料が必要で「それプラス冥王星系内で使う用とか無理ゲー…(´・ω・`)」ってなってたのがギリギリいけるかもみたいな感じになってきたのかな。)


衛星のスイングバイで軌道を変えるのは、土星探査機のカッシーニも似た手法でタイタンの重力を利用してたそうです。(Twitterで教えていただいた情報によると木星探査機のガリレオも、イオをはじめとする四大衛星の重力を利用していたそう。

 ちなみにこのスイングバイという方法を初めて利用したのは、マーキュリーのマリナー・キャッスルの由来になっている水星探査機、マリナー10号です!

【参考】スイングバイ - Wikipedia

カロン・キャッスル、タイタン・キャッスル、イオ・キャッスル、マリナー・キャッスルと、セーラー戦士のキャッスルが続々(((o(*゚▽゚*)o)))

10か月前の私に教えてあげたい!

今年のちょうどお正月、New Horizons探査機がUltima Thule(ウルティマ・トゥーレ)という冥王星よりもっと遠くの小惑星(カイパーベルト天体)にフライバイして調査を行いまして。

その情報を見ながら、「冥王星周回探査ってできないのかな?」って思ってたのです。
天王星より先の惑星でまだそれやってないのは技術的に難しいのかな?予算無いだけなのかな?と。

で、素人なりに調べてみたら「冥王星の重力が小さくて、周回軌道に入るには燃料を使ってブレーキをかける必要があるけど、その量の燃料を積んで打ち上げて運ぶのは不可能」というような情報に行き当たって。(つまり技術的に難しい)

【参考】冥王星“接近通過”をめぐる10の疑問に答える | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

じゃあしょうがないかー…(´・ω・`)って諦めてたのです。
少なくとも私が生きてる時代の技術では無理なんだろうなって。

ところがですよ!!わずか10か月後に、私が生きてる間に実現する可能性がゼロではないという話が出てきて、とても、とてもテンションが上がっている…!実現したら2046年までは死ねない( ・`ω・´)

余談:セレス・ベスタって冥王星よりさらに小さくないっけ?

上の、冥王星周回探査ができない理由を調べてた時に思ったのがこの疑問。ドーンという探査機がセレス・ベスタを周回してたはず。
ちょうど今も、はやぶさ2がリュウグウという小惑星を周回してる。セレス・ベスタもリュウグウも、冥王星より小さいはず(リュウグウとか特に)

小惑星帯は近い(火星と木星の間)から、もっと遅い速度で行ったとかなのかな?それなら少ない燃料で速度落とせるとか?と思ったのだけど、調べたら、「エンジンの種類が違う」というのが答えっぽかった。

【参考】《号外》史上初!ついに冥王星に到着!!NASA技術者が語る探査機ニューホライズンズへの期待 | 『宇宙兄弟』公式サイト

はやぶさ2やドーンは、イオンエンジンという少ない燃料で済むエンジンを使ってるけど、これは代わりに大きな電力が必要で。
リュウグウやセレス・ベスタなら太陽電池が使えるけど、冥王星ほど遠いと無理(なので燃料が多く必要なロケットエンジンを使ってる)と。

ちなみにエンジンの種類もよくわかってなかったので調べたところ、

  • 空気から酸素をとり入れるのがジェット機
  • 酸素をあらかじめ持っていくのがロケット
  • ガスをイオン化させ、電気の力でそのイオンを加速して後方に押し出すことで推進力を得るのがイオンエンジン(=燃焼させる酸素が必要ないので、少ない燃料で済む)

 ということみたい。
飛行機はジェットエンジン、冥王星のNew Horizonsはロケットエンジン、セレス・ベスタのドーンはイオンエンジン。

【参考】JAXA小惑星探査機「はやぶさ」物語|「はやぶさ」とは|原理「イオンエンジン」と「運動量保存の法則」

ああ、つまり、冥王星周回探査に必要な物として挙げられてる「a nuclear electric stage augmented by a chemical propulsion braking stage」って太陽電池じゃなくて原子力電池の電源を使ったイオンエンジンってことなのかな…?(ごめんなさいこれは自信ない)

何はともあれ、生きてる間には見れないかなと諦めてたことが急に現実味を帯びてめっちゃテンション上がった。上がってる!

また分かったことがあれば追記なり別記事なり上げようと思います!上記の記事も一通りは読んだけど全然理解が追い付いてないので…

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